動画は６歳のフレンチブルドッグです。
この子は食事中に舌が青くなり、失神してしまうという主訴で来院しました。
注意深く呼吸の音を聞くと、喉の奥でブルブルした音が聞こえます。
また、この子は鼻の穴も狭く、外鼻孔狭窄という状態でした。
フレンチブルドッグやパグなどの鼻先が短いワンちゃん達のことを短頭種と呼びますが、このグループの子たちは先天的に①軟口蓋過長②外鼻孔狭窄③気管低形成といった呼吸器の異常を伴っていることが多く、加齢や肥満により症状が重篤化していきます。
このワンちゃんは６歳になって初めて失神するようになり、放っておくと命の危険がありました。
そこで今回は楽に呼吸が出来るよう、外鼻孔拡張術と軟口蓋部分切除術を行いました。写真は手術１週間後の様子です。
前の写真と比べると鼻の穴が拡がっていることが分かります。
表情も明るいですね！
この写真は麻酔中の喉の奥の様子です。丸で囲まれた部分が軟口蓋で、異常に長く伸びたヒダが気管の内部にまで入り込んでいました。
軟口蓋を部分的に切除すると、このように空気の通り道が目視できるようになりました。
動画のように手術翌日の段階で、明らかに呼吸状態が改善しました。
食事管理のため鼻から栄養カテーテルが挿入されていますが、呼吸の音が随分に楽になった様子が伺えます。
この病気は通常３歳くらいまでに施術してあげると改善率が高いですが、重篤な症状が出てからですと症状の改善までに時間がかかります。若いうちに発覚していれば、避妊去勢手術の際に同時に手術をすることも大切です。