フェレットの副腎腫瘍

フェレットでは副腎腫瘍が比較的多くみられます。4〜5歳をピークに発症し、雌雄ともに発症します。

代表的な症状は脱毛ですが、写真のように部分的に脱毛する子から全身脱毛してしまう子まで様々です。

特に雄フェレットは前立腺肥大や前立腺嚢胞を伴うことがあり、排尿障害を起こすため非常にやっかいな病気です。

 

排尿障害を起こした子は写真のように尿道カテーテルを留置し、リュープリンなどのお薬を用いた内科的管理で落ち着く場合もあります。

重症例では写真のように尿が300ml以上も貯留し、腎不全に至る事もあるため、早めの対応が必要です。

フェレットに尿道カテーテルを留置することは意外と難しく、麻酔が必要となります。さらに、カテーテル留置後、自分で抜いてしまわないようカラーをつけて管理するので写真のように大掛かりな処置になります。

副腎腫瘍は症状から推察し、超音波検査で診断します。超音波検査は麻酔も必要なく詳細に観察できる点で有用な検査ですが、周囲のリンパ節と判断に迷う場合もあるため、確定診断には開腹手術での観察と病理検査が必要です。

 

副腎腫瘍の治療にはリュープリン(性ホルモンを抑える薬)を用いた対症療法と外科切除が選択できます。根治には外科切除が必要です。

図のように副腎は後大静脈を挟んで左右に位置し、右副腎は特に後大静脈と密接しています。そのため左副腎の摘出は比較的容易とされますが、右副腎の摘出は出血のリスクが高く、内科的治療を選択することがほとんどです。

しかしながら、リュープリン投与による治療はあくまで対症療法であり、症状のコントロールができない場合は外科切除が必要となります。

左の写真の子は無事に右副腎腫瘍を摘出することができ、症状も改善されました。

 

副腎腫瘍の症状は脱毛や排尿障害、外陰部や乳腺の腫脹など、ご家庭でも気づくことが出来るので、異常を感じたら早めにご相談ください。