症例は8ヶ月齢のトイ・プードルの男の子です。3週間前から左後肢の跛行がみられ、他院を受診したが治らないとのことで来院されました。
レントゲン検査を行ったところ、写真のように左足の股関節に異常が認められました。
画像所見からレッグ・ペルテス病(大腿骨頭壊死症)と診断しました。
治療は大腿骨頭を切除する外科手術が必要となります。
正常であれば大腿骨頭は光沢のある綺麗な円形ですが、症例の骨頭はギザギザと不整で骨折も認められました。
術後のレントゲン画像をみると、関節を形成していた骨がなくなったことが分かります。
一見すると関節がなくなり歩けるのか心配になりますが、骨の摩擦がなくなることで痛みがなくなり、関節部位に儀関節が形成されることによって、正常に歩けるようになります。
本症例も術後2週目には足を着いて歩けるようなりました。
レッグ・ペルテス病は若齢の小型犬にみられる疾患で、大腿骨頭への血液供給が不足して骨頭が壊死してしまう病気です。発症すると痛みが出て、後肢を挙上したり、歩かなくなったりします。放置すると筋肉が萎縮し、術後の改善が遅くなったり永久的に跛行が残るケースもあります。
若齢の小型犬では膝蓋骨脱臼(パテラ)も多くみられるため、丁寧な触診や、正確なレントゲン検査による原因の見極めが重要です。