眼瞼内反症は、眼瞼(まぶた)が発育や眼瞼痙攣、加齢に伴い内側に巻き込んでしまう病気です。眼瞼内反があると睫毛が角膜に接触してしまい、目ヤニや羞明、流涙などの症状がみられます。放置してしまうと角膜潰瘍や慢性角膜炎の原因となります。
発育と共に発生する場合が多く、犬ではゴールデン・レトリーバーやコッカー・スパニエル、ペキニーズ、パグなど目の周りの皮膚が多い子が発症しやすいとされています。猫ではメインクーンやペルシャなどでみられます。
今回はメインクーンの猫ちゃんで眼瞼内反症の矯正手術を行ったところ、良好な成績が得られたのでご紹介します。
写真の猫ちゃんは1歳の男の子です。涙目と目のしょぼつき(羞明)を主訴に来院されました。写真のように下眼瞼が内反し、角膜に睫毛が接触していることが分かります。
治療法
基本的には余分な皮膚・皮下組織を切除し縫合するHotz-Celsus法という外科手術を行います。写真左は皮膚を切開した時の様子です。
縫合を終えると内反していた眼瞼が正常な位置に整復されたことが分かります。
経過
写真は術後の経過です。1ヶ月後には術前にみられた眼瞼内反は消失し、まぶたのラインが観察できます。睫毛の接触も認められません。
本例は1回の手術で美的外観を損なうこともなく綺麗に整復されました。しかしながら、切除範囲の決定は意外と難しく、切除が不十分、もしくは過剰になることで再手術が必要となる場合もあります。
眼瞼内反は放置すると難治性の角膜炎や角膜潰瘍を生じる恐れがあるため、同様の症状でお困りの場合はご相談ください。